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なぜ記者は戦場に行くのか 

          現場からのメディアリテラシー

 

 

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ロバート・キャパ、澤田教一、一ノ瀬泰三、アーニー・パイエル…。戦場で亡くなった記者、カメラマンは数知れない。2001年、アフガニスタンで死亡したジャーナリストは8人、世界では100人以上にのぼる。

なぜ、記者たちは危険を冒してまで戦場に行くのか。

私自身は、1974年のエチオピア革命に始まり、89年の東欧の崩壊、91年の湾岸戦争、92年のカンボジアPKO、九四年のルワンダ内戦などを取材してきた。

湾岸戦争では、イラクから飛んでくるスカッド・ミサイルをイスラエルで待ち構え、カンボジアではポル・ポト軍に潜入した。ルワンダでは、隠蔽された虐殺現場を世界で初めて目撃し、アフガンでは、タリバン政権崩壊後、邦人記者として真っ先にカンダハル入りした。

何度も死にそこなった。しかし、なぜ行ったのかとなると明確な答えが出せなかった。使命感ではない。そんなに格好いいものではない。もっと底知れぬ欲望が渦巻いている。それをえぐり出そうと思った。

その道具として、今回ビデオカメラが役に立った。

アフガンを取材中、報道の舞台裏をビデオカメラで写しながら、周囲の記者たちに「なぜアフガンに入るのか」と尋ねてまわった。本業の合間に細切れの時間を使って撮ったものだが、帰国後、一本の映画を作ることになった。

映画は「アフガン戦場の旅〜記者たちは何を見たのか〜」(70分)。東京の映画館「BOX東中野」で上映された。予想を超える反響で、初日と最終日には、立ち見まで出るほどだった。地方での上映も実現した。

本書は、アフガン取材と映画製作がベースになっているが、ベトナム戦争で過酷な取材をしたベテラン記者二人にも長いインタビューをしている。一人は、元UPI記者で、ハリウッド映画「ワンス・アンド・フォーエバー」の原作者、ジャー・ギャロウェイ氏と、日本のフリーカメラマン、石川文洋氏だ。最終的には「なぜ記者たちは戦場に行くのか」について答を出し、私なりの心構えも書いた。

これまで、戦場カメラマンや記者たちは、カッコよく描かれすぎたし、伝説化されすぎたように思う。そのため、問題が行き詰まるとすぐに「マスコミが悪い」「記者がだらしない」となって、それ以上の議論には発展しなかったりする。自分は何もせず、「政治家が悪い」とうそぶいている姿と同じだ。

そこには、政治家に対するものと同じように、記者に対する過剰な期待と過剰な失望がある。

それは、本当の記者たちの姿が見えていないからだろうと思う。

最近、メディアリテラシー(メディアを読み解く力)という概念が一般的にも広く知られるようになってきているが、メディアリテラシーは、報道の舞台裏を、そして報道陣の生の姿を知るところから始まる。メディアも、これまでのように上位下達の伝達方式では信頼されないのではないだろうか。

記者たちの生の姿をさらすことが、ジャーナリズム世界を理解する一助になればと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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